頭痛の診療ガイドライン2021では、薬物治療以外を希望する患者や副作用で薬物治療に耐えられない患者、薬物乱用性頭痛の既往のある患者、妊娠または妊娠の可能性のある患者などには非薬物療法が治療オプションとして選択されています。
その中でも、鍼治療は片頭痛や緊張型頭痛の非薬物療法としてガイドラインに掲載されていて、チーム医療の職種にも鍼灸師が含まれています¹⁾。
ガイドラインに掲載された鍼治療について、頭痛専門医の鍼灸治療に対する考え方を対象とした論文がありましたので紹介します²⁾。
*1%未満四捨五入、複数回答は上位3つまで。
・まとめ
診療ガイドラインに掲載されたので8割以上の頭痛専門医が鍼灸治療に興味がある。
勤務先の保険医療機関(病院や診療所等)では鍼灸を実施している所は約10%。
約9割の頭痛専門医は鍼治療がガイドラインに記載されている事を知っている。
鍼灸治療の適切な紹介先として、衛生面、有効性、安全性を重視している。
*当院は衛生面を重視していて、鍼、グローブ、シーツは使い捨てです。
・対象
日本頭痛学会会員の頭痛専門医978名
有効回答数276名
・頭痛に対する鍼灸治療の興味
興味があると回答した医師は83%
興味がないと回答した医師は17%
・自身の所属する病院または提携先で鍼灸治療を実施しているか
実施している 11%
実施していない 89%
・頭痛の診療ガイドライン2021において、鍼治療の推奨グレードを知っていたか
知っている 40%
記載は知っていたが推奨グレードまでは知らない 47%
知らない 13%
・頭痛専門医が考える鍼灸治療の適切な紹介先(複数回答可,自由記載あり)
単回・使い捨ての鍼を使用している 71%
頭痛患者の経験が豊富にある 70%
使い捨てのグローブを使用した鍼治療をおこなっている 55%
・鍼灸治療を勧めるにあたり最も重要と考えていること
有効性 64%
安全性 33%
その他 4%
・鍼灸治療に対するイメージという設問(複数回答可,自由記載あり)
緊張型頭痛に効果的 69%
治療者によって治療方法が異なる 39%
片頭痛に効果的 33%
参考文献
1)頭痛の診療ガイドライン作成委員会編.頭痛の診療ガイドライン2021(日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会監修).医学書院.東京.2021
2)Sumire I 他.頭痛専門医を対象とした鍼灸治療に対する障壁とイメージ調査
日本頭痛学会誌,51:178―183,2024