新型コロナウイルスの流行から、世界中でメンタルヘルス問題の有病率が急増しています。
カナダのアルバータ州鍼灸伝統中医学大学でアルバータ州政府の資金提供を受け、痛みとメンタルヘルスの問題に対処するために、鍼治療がこれらの症状をどの程度緩和し、患者全体の健康状態を改善できるかを評価する臨床試験が行われました。
この研究は、カナダのアルバータ州の若者(24歳以下)と高齢者(55歳以上)の痛みとメンタルヘルスの問題に対処するために鍼治療を利用したアルバータ補完健康統合プロジェクトです。
人種や性別は東アジア人が55%で女性が73%でした。
参加者の症状は、精神衛生上の不安や状態(睡眠障害、不安、抑うつ、発達障害、摂食障害、認知障害、消化器系の不調など)のいずれかに該当する方や慢性的な痛みのある方です。
試験内容は5~15年の臨床経験がある鍼灸師により行われ、282日間で、合計606人の患者が5,424回の鍼治療を受けました。各患者の特定の痛みとメンタルヘルスの懸念に合わせて調整され、1〜3か月続く標準的な治療に従って、個別の治療計画が選択されました。患者は少なくとも最初と治療完了時の2回評価されました。
評価方法は、痛みの軽減、睡眠の質の改善、うつ病、不安、疲労、怒り、生活の質の軽減を測定しました。
結果は少なくとも6回の鍼治療を受けた500人の患者のデータを解析したところ、統計学的に有意な改善が示されました。
このグループのうち、少なくとも12回の鍼治療を受けた235人の患者のサブグループは、最も良好な治療結果を示し、痛みの重症度が75.5%減少(全体65.9%)、睡眠の質が53.1%改善(全体45.8%)、うつ病が78.4%減少(全体70.1%)、不安が41.1%減少(全体37%)、疲労が43.7%減少(全体38.2%)、怒りが38.2%減少(全体34.1%)、全体的な生活の質が42.6%(全体36.2%)改善しました。
鍼治療を通常のケアに加えると、メンタルヘルスの向上、慢性および一般的な痛みの緩和、および全体的な生活の質の向上に有望であることを示した結果になりました。
投薬+鍼灸治療をご検討いただけましたら幸いです。
参考文献
Lu M,et.al 疼痛と精神的健康問題を抱える患者の治療における鍼治療の有効性:アルバータ補完医療統合プロジェクトの結果
Front Neurol. 2024 Aug 6;15