腰痛は様々な年代の方に見られ、鍼灸院でもよく見る症状です。
腰痛に対する鍼治療の効果は投薬や物理療法(電気治療、腰の牽引等)と比較した臨床試験は多数ありますが、鍼治療は鍼を打つ場所や深さ等に様々な考え方があります。
腰痛に対して腰へ鍼を打つ時に、浅めと深めで治療効果の比較を検討した臨床試験を紹介します。(当院では深めの鍼を行います。)
・対象者
3ヶ月以上の腰痛があり、鍼治療の経験がない患者さん32名
(男性17名、女性15名、年齢70歳、腰痛歴7年)
・方法
週1回、計4回、対象者を無作為に浅めの鍼(5mm、16名)、深めの鍼(20mm、16名)に分けて、3~12ヶ所に鍼を打ち、1mm幅で鍼を20秒動かし、鍼をとる。
・評価方法
初回直後、4週後、治療せずに様子をみて4週間後の計3回、治療内容を知らない別の鍼灸師が評価。
・結果
腰痛の主観的な痛み、腰痛による日常生活における影響、痛みによる生活の障害の影響は浅めの鍼、深めの鍼、共に治療前は同等でした。
計3回の評価は浅めの鍼よりも、深めの鍼の方が全ての評価が良好でした。
参考文献
s.fuzimoto et al. 腰痛に対する腰部への鍼の刺入深度の違いによる治療効果の相違 ランダム化比較試験.
全日本鍼灸学会雑誌 2011; 61(3): 208-217